竜の花嫁

竜の花嫁

[ ミルクティー ]

ティアナと居ると、私は首が痛くなる。
彼女の体はとても小さく、私はいつも下を向かねばならないから。

ティアナと居ると、私はどうもこうもよく転ぶ。
彼女の歩幅はとても狭く、あわせて歩くのは至難のわざ。
一日に何度自分の足につまづいたことか。

ティアナと居ると、私は自分の不器用さに愕然とする。
人間のその指の細かく動くことといったら。
私は卵一つも満足に割れやしないというのに。

ティアナと居ると、私は妙に子供に懐かれる。
昔は恐れられていたのが、今では山登りでもするかのよう。
いつもティアナが乗っているから、子供は羨んでいたのだ。

ティアナと居ると、私は筋肉痛になる。
私の顔の筋肉は、表情を作るのには向いていないんだ。
だから、そんなに笑わせないで欲しい。

ティアナと居ると、私はとても疲れる。
彼女はよく笑い、泣き、怒り、その上に無鉄砲でお節介。
そんな姿は私の前だけでいいものを、彼女は誰にでも振りまくから。


ティアナ、
君と居ると私は
疲れるし、ショックも受けるし、何と言ってもわずらわしいことばかりなんだ。

それなのに
なぜだろうな

それが、そんなに嫌いではないんだ。

「エドヴァルド? ぼーっとしてどうしたの」

その名を呼ばれるだけで、胸の奥が、苦しくて、温かい。

彼女は、何も知らないでミルクティーを啜っている。

そう、この気持ちはきっとこのようなもの。

いつか、混ざり合って、溶けあって、苦味も甘味も一つになるのだろうか。

今は苦いのか、甘いのか。それはわからないけれど。

「好きなんだ」

「ミルクティー、エドヴァルドも飲みたいの?」

「あぁ、好きだ」

君のことはもちろん、君のことに手を焼いている愚かな自分も、これがなかなか

好きだから、始末が悪い。

[06:君と居る時の自分]

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