【君で変わっていく十のお題】 ミルクティー BACK | INDEX | NEXT 2010/10/22 update |
ティアナと居ると、私は首が痛くなる。 彼女の体はとても小さく、私はいつも下を向かねばならないから。 ティアナと居ると、私はどうもこうもよく転ぶ。 彼女の歩幅はとても狭く、あわせて歩くのは至難のわざ。 一日に何度自分の足につまづいたことか。 ティアナと居ると、私は自分の不器用さに愕然とする。 人間のその指の細かく動くことといったら。 私は卵一つも満足に割れやしないというのに。 ティアナと居ると、私は妙に子供に懐かれる。 昔は恐れられていたのが、今では山登りでもするかのよう。 いつもティアナが乗っているから、子供は羨んでいたのだ。 ティアナと居ると、私は筋肉痛になる。 私の顔の筋肉は、表情を作るのには向いていないんだ。 だから、そんなに笑わせないで欲しい。 ティアナと居ると、私はとても疲れる。 彼女はよく笑い、泣き、怒り、その上に無鉄砲でお節介。 そんな姿は私の前だけでいいものを、彼女は誰にでも振りまくから。 ティアナ、 君と居ると私は疲れるし、ショックも受けるし、何と言ってもわずらわしいことばかりなんだ。 それなのになぜだろうな それが、そんなに嫌いではないんだ。 「エドヴァルド? ぼーっとしてどうしたの」 その名を呼ばれるだけで、胸の奥が、苦しくて、温かい。 彼女は、何も知らないでミルクティーを啜っている。 そう、この気持ちはきっとこのようなもの。 いつか、混ざり合って、溶けあって、苦味も甘味も一つになるのだろうか。 今は苦いのか、甘いのか。それはわからないけれど。 「好きなんだ」 「ミルクティー、エドヴァルドも飲みたいの?」 君のことはもちろん、君のことに手を焼いている愚かな自分も これがなかなか 「あぁ、好きだ」 好きだから、始末が悪い。 [06:君と居る時の自分] |